学校における傷害事故予防講習会:厚木市教育委員会

平成25年7月4日、この講習会は、厚木市教育委員会が主催する小中学校教諭、保健安全関係統括教諭、その他希望する教職員を対象とした平成25年度学校安全講習会を行ないました。
今回、成果統合型実装プログラム「国際基準の安全安心な学校・地域づくりに向けた協働活動支援」プロジェクトの一環として位置づけ、RISTEX「犯罪からの子どもの安全」領域「虐待等の意図的傷害予防のための情報収集技術および活用技術」の成果の一部を反映しました。

開催概要

日時 平成25年7月4日(木)14:00−15:00
場所 厚木市文化会館 4階 集会室AB
テーマ 「学校における事故予防〜学校環境での科学的アプローチ〜」
講師 西田佳史(独立行政法人産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター
参加人数 約50人

講演内容

傷害サーベイランスの重要性と、データの活用(事故を予防するための環境改善、安全学習教材の開発と活用)について、講演を行いました。

(1) 傷害予防は子どもの行動を制約する?
  • 傷害予防とは事故が「起こる前」に対策をすることです。でも、予防=行動制約ではありません。
  • 傷害予防は、子どものミス・失敗を許容する方法であり、子どもの健康と発達を促進します。
(2) 事故予防につながる予防活動
  • 重大事故の検証をシミュレーション技術を使って事故を再現することで、科学的に行います。
  • 次に対策法の効果のシミュレーションを行います。
  • 変えられるものを見つけ、変えられるものを見極め、変える、それが事故予防です。
(3) 安全知識循環型社会
  • 事故を予防できる社会づくりが必要です。
  • そのためには、現場や医療機関での事故データの収集と伝達(傷害サーベイランス)が重要です。
  • 傷害サーベイランスで得られたデータを、専門機関が知識化し、メーカーなどが対策法を開発し、それを社会に還元することで現場の改善を行う、循環の仕組みが大切です。
  • この循環の仕組みの出発点は傷害サーベイランスです!
  • しかし、現在は傷害サーベイランスの仕組みが整っておらず、事故の教訓が生かされず、同じ過ちを繰り返す事例が多く見られることを具体例を使って提示しました。
(4) 学校環境のデータに基づく傷害予防
  • 学校内の典型的な事故事例を傷害サーベイランスのデータを元に検証し、児童用の教材を開発しまいた。その教材を用いて児童に講義を行った事例を紹介しました。
  • 児童に遊具の危ないところ、楽しいところを聞くことで、利用者である児童を巻き込んだリスク・ハザード分析を行った事例を紹介しました。
  • 小中学校で行う傷害サーベイランスである事故調査シートの活用例について提示しました。

参加者からの声

  • 子どもたちの危険回避能力を付けることはとても重要だとおもった。現在の子どもたちは生活範囲が狭いためか、体験が少ない。火の熱さ、水蒸気の熱さが分からず火傷を負うなど、生活の基本的なことが身に付いていないように感じる。学校内の事故に関わらず、生活の中の事故に対する教材開発も望む。

(講師コメント:地域、家庭内、自然の中で起きている事故に対する教材化も検討をしている。その点で学校内に関わらず、広く一般的な傷害サーベイランスの仕組みが必要である)

  • 大人ならば当然危険を察知して回避できるような事故を子どもたちは起こしてしまう。教材の活用による危険の周知は必要だと思った。

終わりに

【講師コメント】

事故予防対策をすると子どもの危険回避能力が育たないのではと危惧する人もおられますが、それは大きな誤解です。むしろその逆で、対策をしていない無防備な環境だと事故を防ぐには子どもの行動を制限するしかありません。学校で起こった事故・傷害のデータを蓄積し、安全教育や環境整備に科学的に取り組むことは、子どもたちの成長に欠かせない失敗やチャレンジを許容し、元気にすると同時に、学校や先生を守ることにも繋がります。

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