交通指導員、自治会役員向け自転車事故予防講習会:厚木市

IMG_0001_2

平成25年12月7日、厚木市・厚木市交通安全対策協議会主催の「厚木市交通安全市民総ぐるみ大会」にて、自転車事故の予防に関する西田先生の講演が行われました。
これは、これは、成果統合実装プログラム「国際基準の安全安心な学校・地域づくりに向けた協働活動支援」プロジェクトの一環と位置づけ、RISTEX「犯罪からの子どもの安全領域」「虐待など意図的傷害予防のための情報収集技術及び活用技術」の成果の一部を反映して行われたものです。

開催概要

 

日時 平成25年12月7日(日)13:30〜(講演は14:30〜)
場所 厚木市文化会館 小ホール
講師 西田佳史(産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター
主催 厚木市・厚木市交通安全対策協議会
参加人数 約300人
参加者 交通安全母の会、交通指導員、自治会役員

講演概要

本講演は、産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター(産総研)が集めたデータ、つまり科学的根拠に基づく外傷と事故の予防についての講演であり、講師の西田先生は、さまざまなデータを具体的根拠として示しながら、具体的な事故予防について話をされました。
まず、病院と協力を得て得られた約2万4千件の怪我の状況のうち、0歳〜19歳までの子どもがどのような製品により事故を起こしているか整理した表が示されました。その結果、3歳以上は自転車に関する事故が1位を占めていました。5歳以上では、怪我をして病院に来た子どもの7人に1人は自転車による事故であり、予防という観点では真っ先に取り組まなければならない課題であることが分かります。事故の種類では、一番多いのが転倒事故であり、次に衝突やスポーク外傷(後ろのせ自転車に乗っていた子どもの足がスポークに巻き込まれる)の事例が多いことが分かっています。運転者は子どもが運転していたケースが半数以上、次に保護者が自転車を停車中に自転車が転倒し乗っていた子どもが怪我をするケース、そして、保護者が運転していてスポークに子どもの足が巻き込まれるケースが続きます。
転倒の場合には頭部外傷が、スポーク事故の場合は踵の外傷が多いことも分かります。
データで見ることで、自転車事故予防の重要性や、何をすべきかという対策の優先順位がとても分かりやすくなりました。

スライド1

さて、このような事故の予防をする時には、「変えられるもの」を見つけることが非常に重要だと西田先生は指摘します。例えば、ヘルメットなどの安全対策用品の着用や、自転車の安全性そのものの向上等は変えられるものです。一方、子どもの年齢、性別、保護者の見守る力、天気、時間は変えることができません。「変えられるもの」を見つけ、変えて行く努力が大事であると西田先生は強調します。

次に、西田先生は動画を用いて具体的な事故事例を示しました。そして、ヘルメットを着用した場合としない場合の頭部へかかる衝撃の違いを実験した結果をビジュアルで見せることで、ヘルメットの着用効果を具体的に示しました。同じように、スポーク事故に関しても、約200人の子どもの足の長さを計測したデータを用いて、車輪の安全カバーが35cmあることという安全基準の改定が行われた事例などを紹介されました。
衝突事故に関しては、ブレーキに着目して取ったデータが示されました。約120人の子どもの手の大きさのデータから、子どもの手は1年生から6年生までの間に約30%大きくなり、また手のひらよりも指の成長の方が早い(だんだん、指が長い形状になっていく)こと、ブレーキは指の第一関節で握るのが一番力を入れやすいことが明らかになったことを示し、成長に伴うブレーキハンドルの調整の必要性を述べていました。

以上のようなデータに基づいた事故予防はどれも説得力がありました。産総研では、このようなデータに基づく根拠を示して事故予防につなげる安全教育教材を複数開発しており、教育効果も検証されています。教育効果は低学年の方がより効果的であるそうです。

最後に市民ソーシングによる社会参加、安全地図づくりのプロジェクトの紹介がありました。スマートフォンを持ったまま自転車に乗ることで、「どこの道がスピードが出やすいのか」という自転車の速度地図が作れます。そこへ事故多発地点を重ねることで、自転車のスピードの出し過ぎが原因となっている事故危険箇所が分かります。同じような仕組みで、現在、産総研では、体が不自由な人の外出を支援する地図づくりを行っています。例えば、スマートフォンを持って歩くことで、坂道の勾配の計測ができるので、杖をついた人、車いすに乗った人が通りやすい道を割り出して地図をつくり、外出する際の参考にしてもらっているそうです。
以上、産総研では、事故予防の安全教育教材の活用や、住民参加による安全地図づくりの参加を呼びかけています。お問い合わせは下記までどうぞ。

child-ml@aist.go.jp

産業技術総合研究所デジタルヒューマン工学研究センター

関連記事