学校安全に関するe-learning講習会:厚木市立清水小学校

平成25年9月19日、厚木市立清水小学校の教職員を対象として、平成13年の事件以降、附属池田小学校が取り組んできた安全教育の考え方と実践について報告した。また新たに開発した「犯罪からの子どもの安全」を目的としたe安全学習システムの社会実装事例を参考にしながら、わが国におけるこれからの安全教育が目指すべき方向性について解説を行った。

開催概要

日時 平成25年9月19日(木)15:30〜16:45
場所 厚木市立清水小学校
テーマ 「これからの安全教育 ~附属池田小学校の取り組みとe安全学習システムについて~」
講師 藤田大輔(大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター
対象 小学校教員

講演内容

  • 大阪教育大学附属池田小学校事件における最大の反省点は、国からの通達を承知していたにもかかわらず、「門を閉めていなかった」ことである。
  • 学校安全の推進のためには「3段階予防」の考え方を基に対策を講じると共に、ハインリッヒの法則にある「ヒヤリハット」の早期発見と早期除去によって、「災害」を発生させない取り組みの実践が重要である。
  • 「ヒヤリハット」は「行動」・「心身状態」・「環境」・「服装」の4領域から検討する必要がある。
  • 「不安全な行動」と「不安全な環境」を改善することで、わが国で発生する事故災害の99%は予防可能であることから、安全推進には、行動への安全教育と環境の安全点検の充実が必須である。
  • 子どもたちに「安全」を教える際に、「危険」を強調した「脅し教育」では、子どもたちへの安全教育としての効果に疑問がある。
  • これからの安全教育では、子どもたちに安全推進のための共感や協働意識を高める工夫が必要とされており、そのことが将来へ続く持続可能な安心・安全なまちづくりの基盤となっていくものと期待される。
  • 附属池田小学校では教育課程特例編成の申請を行い、1年生から6年生まで各学年35単位時間からなる「安全科」の設置認可を受け、安全教育の充実に取り組んでいる。
  • 「安全科」における普通救命学習や安全マップの授業を通じて、子どもたちの「自己効力感」の育成に効果のあったことが観察されている。
  • 今までの附属池田小学校での実践成果から、これからの安全教育の有効性を高めるためには、ソーシャルサポート認知を基盤とした「自己効力感」や「協働効力感」の育成が重要であると考えている。
  • このような考え方を根拠として、平成19年度から5か年計画で、社会技術研究開発センター(RISTEX)の委託を受け、「犯罪からの子どもの安全を目指したe-learningシステムの開発」のための実証実験を展開し、小学生を対象とした防犯教育を効果的に展開・普及するためのデジタル教材を開発した。
  • デジタル教材を用いた実証実験授業は、東北地方から九州地方までの7か所の小学校で、延べ800名近い児童の参加を得て実施され、小学生の防犯に関わる安全行動の育成に一定の教育効果のあることが実証された。
  • 実証実験授業は通常の教育活動の時数負担を最小限にするため2時間1セットで構成され、1時間目はデジタル教材を用いた授業、2時間目は、1時間目の学習における児童の回答内容に対する保護者のコメントを活用した振り返り授業により展開した。
  • これからの学校における安全教育の成果を高めるためには、保護者の意見や感想を授業内容に取り込むことで家庭の参加・協働意識を促すと共に、可能であればスクールガードリーダーなど地域の安全に携わっている人々の意見や感想も学校での授業内容に取り込んでいくことがキーワードになると考えている。
  • 作成した教材は、岡山県及び岡山県教育委員会の協力を得て、今年度(平成25年度)から3か年計画で、岡山県下の延べ18,000名の児童を対象として、防犯を目的とした安全教育が展開されているところである。
  • ISS(International Safe School)の認証活動を展開しておられる清水小学校でも、ぜひ安全教育活動の中で、今回開発した防犯を目的としたe-learning教材の活用に取り組んでいただきたいと思っている。
  • 教材活用にあたっては、岡山県における展開事例同様、教材が独り歩きすることがないように、まずは教材理念を伝えることを目的とした事前研修を代表教員に受講していただく必要がある。
  • 教材活用を希望する教員を対象とした事前研修会は、当該校への講師派遣費用を含めて、無償で提供する用意があるので申し出てほしい。
  • さらに今後は、教材活用経験のある教員の参加を得て、教材内容の改修や内容項目の充実を目的とした研究会を大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンターが責任を持って開催し、教材内容の継続した充実を図っていく予定である。

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