「市民安心・安全フェスタ2015 in あつぎ」参加報告

平成27年11月14(土)、厚木市文化会館にて、厚木市・日本市民安全学会の主催により、「市民安心・安全フェスタ2015 in あつぎ」(第12回日本市民安全学会厚木大会)が開催されました。
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日時 平成27年11月14日(土) 10:50~12:30
場所 厚木市文化会館 会議室 302

開会の挨拶:小林常良 厚木市長

小林常良厚木市長の挨拶により、開会しました。小林市長は、社会生活で一番大切なことは「普段通りに生活できること」とし、そのためには社会を作っている「私たち」が安心・安全に取り組む必要があると述べました。また、それらの活動を通じ、「私たち」一人一人の気持ちがつながることが、SCの真の目的であるとし、これからの引き続きの取り組みを宣言しました。

基調講演:石附弘 日本市民安全学会会長

小林市長の挨拶に続き、本統合実装プロジェクト領域アドバイザーである、石附弘日本市民安全学会会長の基調講演がありました。石附会長は、SCとは警察(安全)と医学(健康)の共同作業であると述べたうえで、これまでの厚木市における8年間の取り組みを振り返りました。石附会長は、厚木市の特徴の一つとして、本統合実装プロジェクトによる研究協力支援についても言及し、本統合実装プロジェクトの取り組み(社会実装の展開)は、ブタペスト宣言の「社会のための科学」という考え方にあてはまると評しました。

第一分科会「交通安全・自転車生活の安全」

第一分科会では、「交通安全・自転車生活の安全」をテーマに、柳田光太郎厚木市SC交通安全対策委員会委員長、長谷川信一厚木市立清水小学校教員、西田佳史産総研主席研究員(本統合実装プロジェクトメンバー)、小林成基特定非営利活動法人自転車活用推進研究会理事長、田中祥夫公益財団法人交通事故総合分析センター研究部次長が発表を行いました(座長:西田佳史産総研主席研究員、副座長:村瀬恵子NPO浦安防犯ネット代表)。

柳田厚木市SC交通安全対策委員会委員長は、SC開始前後における交通に関する数値の推移について報告しました。厚木市では、市民安全指導員やバス会社との連携を通じ、交通安全教室をはじめとしたプログラムを積極的に実施してきました。一方で、現在の課題としては、交通事故件数は減少しているものの、高齢者の事故は増加傾向にあること、高校生の事故が依然として多いことを挙げ、高齢者の交通事故及び高校生の自転車事故防止に向けた取り組みを再検討しているとのことでした。

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長谷川 信一 厚木市立清水小学校教員

長谷川先生は、ISS 認証取得を「新たなスタート」とし、生徒の卒業や職員の異動というなかで、ISSスピリッツをどう職員が継承するかという課題に対する取り組みについて報告しました。清水小学校では、ISSが「学校文化」にという思いから、生徒の行動基準に「安心・安全」を据え、子供が主体的に取り組む安心安全な学校づくりを目標としています。とりわけ、自転車事故防止においては、学年が上がることに減少するヘルメット着用率向上を目的としたさまざまな運動(着用率グラフの掲示、保護者への呼びかけ等)を展開しており、その結果、全校でのヘルメット着用率97%を達成しました。

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柳田 光太郎 厚木市SC交通安全対策委員会委員長

西田産総研主席研究員は、清水小学校と共同で実施した、自転車のブレーキ把持特性・反応速度データの計測実験について報告しました。実験においては、手の大きさとブレーキの幅があっている場合とあっていない場合のブレーキ反応時間を比較し、報告においては、その比較結果を示したうえで、自転車事故予防におけるブレーキ幅の調整の重要性を述べました。また、当実験は、厚木市だけではなく、他地域へも展開されており、その活動は、ウェブサイトを通じ、世界に発信されているとのことでした。

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西田佳史 産総研主席研究員

小林成基自転車活用推進研究会理事長は、「車を運転しなくなった高齢者の6割が自転車にシフト」「日本の多くの地域では車がなければ生きていけない」という現状を指摘し、欧米における「歩いて暮らせるまちづくり」の取り組み、成功事例を紹介しました。また、増加するインバウンドの対応として、ピクトグラムの信号機(現在日本では不許可)や交通標識の見直しの検討必要性を提示しました。

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小林 成基 特定非営利活動法人自転車活用推進研究会理事長

田中祥夫交通事故総合分析センター研究部次長は、全事故の発生件数が減少している一方で、生活道路での事故の割合は横ばいであるという現状を指摘し、生活道路における事故対策の必要性について発表しました。とりわけ、欧州の市街地の大部分に導入済である「ゾーン30」について、厚木市でも検討する必要があると指摘しました。

以上の報告受け、座長の西田産総研主席研究員は、「交通安全は傷害予防の草分け的存在」であるとし、SC活動を通じ、異分野が集まっての交通安全に関する情報交換が可能になると述べました。

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田中 祥夫 公益財団法人交通事故総合分析センター研究部次長

(基調講演・第一分科会視察報告 文責:鈴木あい)

第二分科会「子どもの安全・地域の安全・学校の安全」

厚木市のセーフコミュニティの活動では、公立で初の清水小学校のインターナショナルセーフスクール(ISS)の認証に取り組んだ経緯もあり、次代を担う子ども達の安全を守るための活動を地域ぐるみで行っています。この分科会ではこれからの子どもの安全・地域の安全・学校の安全について4人の発表者を迎え、これからの展望・知見の交換を行いました。発表者は、厚木市セーフコミュニティ子どもの安全対策委員会委員長である川畑誠氏と、産業技術総合研究所の主任研究員である北村光司氏、2015年11月13日(当日の前日)に、国内3番目のISSの認証を受けた厚木市立睦合東中学校校長である南波正志氏、そして、明治大学理工学部教授である山本俊哉氏でした。

川畑誠氏からは、「子どもの安全対策委員会」での取組概要・今後の展望などについて発表していただきました。同委員会では様々なデータを検証し、具体的な課題を設定して、対策を検討してきました。
北村光司氏からは、学校でのスポーツ外傷予防のための障害データの活用についてお話頂きました。スポーツ外傷を状況別に分類・分析し、予防するためには危険な状況を理解しスポーツの制限を行う判断基準を定めることが重要であることが分かったため、指導者や児童の理解を深める取組を行っているとのことでした。
南波正志氏からは、睦合東中学校におけるISSでの重点取組についてお話して頂きました。同中学校におけるISSの取組の推進は、厚木市・すこやかネットワーク会議・清水小・睦合東中という4つの団体が協働して取り組まれたことが大きいとのことでした。

この分科会の座長でもある山本俊哉氏からは、エビデンスに基づいた安全な生活環境づくり(エビサポ)の取組についてお話頂きました。厚木市において行われた安全点検マップ・子どものネット利用に関するプログラム・危険予知トレーニング(KYT、当サイトでは「安全行動イメージトレーニング」として紹介)・アンケート調査などの安全な地域づくり・安全な学校づくりの支援プログラムは、そこで得られた知見をその地域だけでなく、秩父など他のセーフコミュニティ取組地域においても行うことで、他地域への拡充を目指しています。この活動は海外でも注目を浴びており、韓国の教育委員会でもKYTの教材を使いたいという申し出が出て、厚木市での取組が各地へ広がっていることが示されました。
最後にこの分科会のテーマは、「子どもの安全・地域の安全・学校の安全」であり、どんな団体においても、担い手が主体的に取り組むことが地域全体へと広げることができるとしてまとめられ、会を締めくくりました。

第2分科会

(第二分科会視察報告 文責:三木 聖那)

第三分科会「効果の上がる安全対策(サーベイランスとその活用)」

第3分科会では、「効果の上がる安全対策(サーベイランスとその活用)」をテーマに、渡邊良久氏(厚木市外傷サーベイランス委員会 委員長)、原田豊氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部長)、宮原千秋氏(小諸厚生総合病院 診療情報管理課)、吉永真理氏(昭和薬科大学教授)が発表を行いました(座長:渡邊良久氏(厚木市外傷サーベイランス委員会 委員長)、副座長:原田豊氏(科学警察研究所 犯罪行動科学部長))。

第3分科会

渡邊良久氏からは、「厚木市セーフコミュニティにおけるセルフモニタリング構築」について発表いただきました。外傷サーベイランス機能としての外傷サーベイランス委員会の役割と機能の紹介に加えて、外傷データの収集として病院のデータや市内医療機関のデータを小諸市や北本市を参考に導入しはじめていること、また外傷等のデータの分析例として、外傷による死亡数からの死因の変化、高齢者増の影響などを報告しました。また、セルフモニタリングの分析として、4つの評価軸(ストラクチャー、プロセス、アウトプット、アウトカム)に基づいて、KPIを設定して、点数化による評価を行っていることなどの報告もありました。課題として、分析結果のフィードバックはしているが、委員会双方の認識を高める必要があることなどを挙げられました。

宮原千秋氏からは、「小諸市外傷登録について」の発表がありました。小諸市や農協病院でもある小諸病院の紹介を踏まえ、病院が外傷調査に加わった経緯や診療情報管理士の資格と役割、登録システムやデータの分析結果についての報告がありました。医療の質を入院患者数、死亡率、手術件数などから分析する診療情報管理士。外傷病名についてのコードを統一し、ゲイ小データ登録を行っています。怪我の原因の多くは転倒でその50%は家でおきており、高齢者が多い結果があるようで、転倒防止策の例についても啓発を行っているようです。小諸市は女性の事故が多いのが特徴のようです。セーフコミュニティの活動に参加することで、中核病院としての責任を持つようになったと語ります。

吉永真理氏からは、「思春期のこころの理解と援助:実践を通した集団のアセスメントの試み」の発表がありました。思春期を迎える中高生の「心の健康」のワークショッププログラムの重要性と身体の成長に伴い多様な心理学的な問題が始まる時期であること、統計から見る子ども~若者の健康リスクについて話します。自殺の若年齢化が進んでおり、例えば厚木市の自殺件数は過去最多になっているなど自殺件数も増加しています。夏休み明けが自殺件数が多く、学校環境に戻るタイミングを注意深く見る必要があるとのことです。そのような心の健康の学習プログラムとして、SEL-Shortを開発し、3ステップ(①怒りのメカニズムとコントロール学習、②自分から助けを求めるスキル学習、③気持ちを理解し、困っている時は声をかけるスキルの学習)を学校の授業に導入しています。友達間でいかにいじめに気づいたり、サポートできるか、その重要性と方法を授業で教えていると語ります。

原田豊氏からは、「聞き書きマップの効用ー文部科学省平成27年度モデル事業ー」をテーマに発表がありました。安全点検を行なっていく上で、いかに現場(学校の先生やPTA)の負担とならない形で実施するかを考え、『聞き書きマップ』を開発したと話します。『聞き書きマップ』はGPS受信機、デジタルカメラ、ICレコーダーの3つを持ち歩くだけで、手軽にデータを取ることができ、マップづくりの素材をアウトプットすることができると話します。収集したデータ(歩行ルート、写真、つぶやきのテキスト)を印刷し、模造紙にグループ参加者全員で手仕事でマップづくりを行い、写真の優先順位付けなどをしながら、議論が活発になってまとめていきます。比較的キットも安価で、維持経費ゼロで日々使い勝手も向上し、今後は自治体がセットでまとめて購入し、地域に無償提供する仕組みで普及していきたいと話します。また、『聞き書きマップ』は、危険な出来事カルテとして、QRコードの自動読み取り機能や、観光への応用なども展開しています。

最後に、質疑なども踏まえ、座長の渡邊良久氏からは、調査データなどは自治体によって傾向も変わってくるので比較していくと面白いという点と、防犯や防災を真面目に捉えるだけでなく、まちの良い点を発見することや楽しむ視点も併せて取り組んでいくことが望まれると、会を締めくくりました。

(第三分科会視察報告 文責:泉山塁威)

第四分科会「みんなの力で取り組む力(協働性の推進)

第四分科会では、堀内裕子氏(シニアライフデザイン代表)が座長、倉持隆雄氏(厚木市セーフコミュニティ総合指導員)が副座長となり、「みんなの力で取り組む力(協働性の推進)」をテーマに発表が行われました。

発表者

  • 肉倉真 氏(厚木市セーフコミュニティ職場(労働)の安全対策委員会 委員長)
  • 堀内裕子 氏(シニアライフデザイン 代表)
  • 川崎末美 氏(東洋英和女子学院大学人間科学部 教授)
  • 田中秀門 氏(亀岡市総務部安全安心まちづくり課 課長)
  • 川副正教 氏(日産自動車(株)テクニカルセンターR&D総務ファシリマネージメント部 部長)
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肉倉真 氏
(厚木市セーフコミュニティ職場(労働)の安全対策委員会 委員長)

厚木市セーフコミュニティ職場(労働)の安全対策委員会委員、肉倉真氏からは「厚木市における職場(労働)安全対策の取り組み」についての発表がありました。
日本のセーフコミュニティの取り組みを行っている自治体の中で、労働災害(労災)についての委員会があるのは厚木市だけです。厚木市は事業所が多く、2つの大きな工業団地もあるため、神奈川県内で2番目に労災が多いというデータをもとにと取組みに着手しました。労災では死亡事故は少ないのですが、怪我が多く、特に製造業における事故が多いことと、経験年数2年未満、特に半年以内の従業員の事故が多いが統計データから明らかとなりました。そこで、市内の工業団地内の事業所において、会員相互で環境改善を目的とした安全衛生パトロールを始めました。また、中小企業向けには商工会議所に所属する企業向けに安全衛生研修会を行っています。特に安全衛生パトロールは、異業種の人が現場を見ることで、その現場にいると気づかないような危険に気づくことができ、成果が上がっています。研修会は参加できる人が限定されるため、これから間口を広げて行くことが課題です。近年、新たな課題として運輸業の事故が増えてきていることがあります。圏央道の開通や物流センターの建設などが理由と思われます。これらの対策を現在検討中です。

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堀内裕子 氏
(シニアライフデザイン 代表)

シニアライフデザイン代表、堀内裕子氏は、「超高齢社会の現状」についてのご発表でした。
日本は現在「超高齢社会」になっています。75歳以上の高齢者は他の世代と比較して要介護者となる人や認知症を発症する人が増えます。高齢者の単身世帯、2人暮らし世帯が増えること、平均寿命と健康寿命(誰の介護もいらずに生活できる状態)の年齢差が年々長くなっていることも課題とのことです。現在、介護を必要とする時期が男性は約9年、女性は約13年となっているというデータもあります。そのような背景をふまえ、日本老年医学会から「フレイル」という言葉が発表されました。フレイルとは直訳すれば「虚弱」ですが、ここでは身体の衰えだけではなく、精神・心理的問題(うつや認知症)や社会問題(孤独・引きこもり)といった、3つが非常に複雑に絡み合っている状態を指します。近年、高齢者を支えるしくみの中に「互助」が加えられ、「自助、互助、共助、公助」で高齢者を支えようとする動きとなってきました。互助にはボランティア活動、住民組織活動、当事者団体により取り組み、高齢者によるボランティア・生きがい就労などが含まれます。そして、地域や公的機関だけで賄えない部分は商助(企業の力)によって高齢者の充実した安全・安心を得ることが必要です。商助の事例として、長野県の松本市の松本市と松本信用金庫の取り組み(市の高齢者向け教室に参加すると金利がアップ)、埼玉県の介護ローソンの取り組み、横浜市のボランティアポイントの取り組み、浦安市の市民大学の取り組み、大田区の社協による商店街活性化の取り組みが挙げられます。

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川崎末美 氏
(東洋英和女子学院大学人間科学部 教授)

東洋英和女子学院大学人間科学部教授、川崎末美氏は「デンマークの子育て方式に学ぶ」と題しての発表でした。ご自身の研究の成果をご説明していただきました。
日本の子供達は他の欧米諸国に比べて自己肯定感が低いというデータがあります。ここで取り上げるデンマークの子ども達も日本の子ども達よりも自己肯定感が高い傾向にあります。そこで、どうして自己肯定感に差が出てくるのかについて子どもの育ちと家庭教育の比較研究を行いました。子どもの意思決定を尊重する保育を行っている札幌のトモエ幼稚園を卒園した高校生・大学生、一般の日本の高校生・大学生、デンマークエルノシア市の高校生・職業学校生、平均約18歳の学生を対象にアンケートを実施し、その結果を分析しました。その結果、日本では母親が受容的で父親が指導的態度をとるときに正の効果があり、そして勉強重視の態度をとるときに負の効果がありました。一方で、デンマークでは勉強を重視することは悪い影響を与えていません。デンマークでは学力で序列化を図ることはせず、テストをしても点数をつけません。デンマークでも子どもが勉強することは重視しているし、勉強するのが当たり前だと親は思っています。しかし、学力によってレベル分けをすることはありません。しかし、日本では勉強ができる子が良い子と捉えられがちで、勉強ができないことが子供達のストレスとなり、それが子どもの自立や自己肯定感を抑制していると思われます。子どもが勉強をすることは必要なことです。子どもの自由や自己決定を尊重し、子どもを受容する、家族の統合度を高めるような親子関係を構築していくことはデンマークから学べることだと思います。

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田中秀門 氏
(亀岡市総務部安全安心まちづくり課 課長)

亀岡市総務部安全安心まちづくり課課長、田中秀門氏からは亀岡の取り組みで留意している市民とのパートナーシップについてのご発表でした。
国の支出の半分が国債費を占める現在、地方のことは地方でという時代になりました。地方創生は地域でお金を生み出して自分たちで自活していく、そのときに一番大事なのは、市職員と地域のみなさんの両方が地域の課題を見抜く力と課題を解決する力をつけ、政策形成能力を高めていくことです。ここで、協働ということを考えるとき、今まで行ってきた公共サービスをお金がなくなってきたから民間に委託というのは本当の協働ではありません。市民と行政がそれぞれの特徴を活かしつつ、豊かで魅力があり、誰もが愛着を持てるまちづくりを目指したいと思います。私は「地域公共人材」という言葉をつくりましたが、マルチパートナージップを築くとき、セーフコミュニティの仕組みはとても適していると感じています。なぜなら、行政自体が縦割りでは市民の協働はありえないからです。そして、住民目線での仕組みと仕掛け作り、意識改革から行政改革へとつなげていくとき、信頼関係を築くことは不可欠です。信頼関係をつくるとき、情報公開はとても重要です。公私混同職員という言い方が良いかはわかりませんが、マルチ的なことができる職員や住民が増えるとよいと思います。
 ところで、行政は総合計画を作っています。H23年に義務付けはなくなりましたが、どこの自治体でもまだ策定していると思います。しかし、ここで住民が関わるのは非常に限定的です。私が必要なのは民間活動計画ではないかと思っています。そこで、亀岡市では計画策定のアドバイスに市職員も入りながら、自治会単位での地域計画づくりを始めました。これを策定するときもセーフコミュニティに基づくフレームは非常に適しています。亀岡市には23の自治会がありますが、現在6自治会をモデル地区としてアクションプランの策定をしました。京都府から職員が派遣されてくるなど、よそ者を受け入れることも一つのポイントとなっています。地方創生のまちづくりはお金の流れを変えます。住んで良かったと思えるまちづくり、他に自慢できるまちづくり。SCのツールは持続可能な社会システムを作るために非常に有効であると感じています。

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川副正教 氏
(日産自動車(株)テクニカルセンターR&D総務ファシリマネージメント部 部長)

日産自動車(株)テクニカルセンターR&D総務ファシリマネージメント部部長、川副正教氏からは、日産自動車が厚木市と協働している事業についてのご発表でした。
特に民間企業が公的機関と関わるとき、Win Winの関係がないと続きません。持続可能性を求めるのであれば、それは絶対条件です。日産自動車と厚木市とはWin Winの関係の協働体制を目指して、次のような事業を行っています。

(1)充電インフラの整備促進

・厚木市内の公共施設に充電器を設置、電気自動車充電インフラ整備の促進

(2)電気自動車活用モデル事業

・公用車へ電気自動車を導入

・厚木市近辺の観光スポットを電気自動車で周遊するEV試乗体験ツアーの開催

(3)自動車先進技術の活用 超小型EVの活用

・介護福祉施設での訪問介護や地域の防犯パトロール車(青パト)として実装実験

(4)交通流改善の将来構想検討

・厚木市内の渋滞改善を目的として交通流シミュレーションによる評価や将来の方向性を論議

(5)小中学校の環境教育支援

・小学校(市内23校)の5〜6年生を対象に、地球環境問題と電気自動車について体験を含めた環境出張授業を実施。

(6)厚木市・日産自動車災害協定

・帰宅困難者の搬送、一時滞在施設の開設

(7)その他

・二輪車安全運転講習会(第二交通機動隊の協力を得て、自動車教習所が休みの日に開催)

・危険体感道場見学会

・地域貢献活動(1万5千人の社員)によるボランティア活動。外国人従業員が学校に自国のことを話に行く国際交流授業。日産野球教室の実施。自治会ごとに特徴が違うのをつかみながら、近隣自治会との交流。

リソースの提供の方が多いと感じられるかもしれませんが、日産は多くの従業員を抱えているため、通勤時間帯の交通渋滞など日産の近隣住民に大変なご迷惑をおかけしております。また、多くの従業員が厚木市に居住しております。ですから、厚木市に自社の技術や人材を還元することはメリットと思います。さらに、従業員が地域貢献活動を行うことで、従業員が地域に目を向けるという視点が育つことは我が社にとってもメリットとなります。地域貢献活動の全体の事務局は総務部の中にありますが、部署ごとにも窓口があり、それぞれの部署が独自の活動を考えて実行しています。この活動を始めたのは2005年で、初期の頃の参加者は2〜3千人程度でしたが、ここ4年間は1万人を超えています。そうすると、活動するのが当たり前の社風が出てきました。

(第四分科会視察報告 文責:重根美香)

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