第11回日本市民安全学会東日本大会in浦安 参加報告

平成26年10月4日に開催された、第11回日本市民安全学会東日本大会in浦安にて発表者・コメンテーターとして山本俊哉(一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズ)が登壇しました。

今大会の分科会にて「アジアにおけるセーフコミュニティの多様性」をテーマに山本よりレクチャーがあり、さらにコメンテーターも担当しました。
今大会はNPO浦安防犯ネット創設10周年を記念しまして、浦安にて第11回日本市民安全学会東日本大会が開催されました。

日時 平成26年10月4日(土) 13:00〜17:30
大会名

NPO浦安防犯ネット創設10周年記念大会
第11回日本市民安全学会東日本大会in浦安
こころひとつに未来輝くまちづくり—これからの市民安全と超連携社会のあり方—

主催 こころをひとつに未来輝くまちづくりin浦安実行委員会
NPO防犯ネット・日本市民安全学会
場所 浦安市民プラザWave101

以下に、山本俊哉のおこなった講演および、その他、講演者の方々の分科会の内容を紹介します。

分科会「こころひとつに未来輝くまちづくり(WHO推奨「セーフコミュニティ」に学ぶ)」

■「アジアにおけるセーフコミュニティの多様性」
 (山本俊哉 一般社団法人子どもまちづくりパートナーズ代表)

アジアにおけるセーフコミュニティの多様性

セーフコミュニティ認証都市は世界で30カ国以上、300都市以上が認証取得していますが、うち半数以上が中国、台湾、タイ、ベトナム、日本など東アジアであることが説明され、今年5月に釜山で行われたアジア大会などから得た知見から特に韓国と台湾のセーフコミュニティについてお話されました。
韓国はセーフコミュニティ認証都市の規模が日本と比べて大きく認証にも時間を要しており、またハード面の取組がわかりやすいことが説明されました。ハード面の取組例として安全公園の設置、防犯カメラの設置やモニター要因の雇用などがあげられました。さらに日本にはない例として釜山市甘川洞文化村が安全対策の資金を観光収入にて得ていることが紹介されました。
台湾は健康と重ね合わせているところが特徴です。内湖地区を例に説明されました。セーフコミュニティの政策を他の事業と絡めながら行っているところがポイントです。
また台湾では大学のセーフスクールの取り組みが行われています。
落下事故防止のための柵にデザイン性をもたせたり、心の健康へも視野を広げているなどの説明がありました。
アジア内でもセーフコミュニティの取組が地域によって多様であり、日本における今後の展開を考えさせられる講演となりました。

■「コミュニティの絆と安心・安全〜地域の体感治安不安感は改善できるか〜」
 (梅落秀一氏 厚木市危機管理部セーフコミュニティ推進課 セーフコミュニティ推進係長)

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まずは厚木市の刑法認知件数と市民の体感治安についてのお話がありました。
厚木市の刑法認知件数はピーク時から3分の1にまで減少したそうです。しかしながら、市民の意識については、「良くなった」と答える人の数は変わらず「変わらない」と答える人の数が微増するに留まっており、体感治安の改善が課題であるといった報告がありました。
セーフコミュニティモデル地区の一つである戸室地区は、住民ボランティアによる防犯活動を活発に行っていたり、ワークショップを開催し住民たちで安全対策の検討、さらには実施といった活動を行っているそうです。この戸室地区と厚木市全体の住民の意識を比較すると、戸室地区の住民の方が①安全に対する意識が高い②市民と行政との協働による取り組みを重要視している③地域の治安が「良くなった」と答える人が多く、「悪くなった」と答える人が少ない以上3点の結果を得られており、つまり日常的に防犯活動が活発であり、住民自らが活動する意識が高い地域は体感治安が良いということが言える、といった考察を得ていました。これらをふまえ、厚木市では地域コミュニティの活性化を図ることにより安心度を高めていくそうです。
さらに厚木市の近年の動きとして、以前まで7つの課題に対応した対策委員会を設置していましたが、東日本大震災以降新たに「防災」の対策委員会を設置、またセーフスクールの取り組みを清水小学校(2008年認証)だけでなく睦合東中学校(2013年取組開始)でも行っているという報告がありました。

■「区民ひろば」を活用したセーフコミュニティ活動の展開
 (齊藤雅人氏 豊島区特命政策担当部長(セーフコミュニティ推進室長事務取扱)

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豊島区の課題は地域住民の理解を得ることであったようです。住民の中にセーフコミュニティが浸透しないという懸念があったと斎藤氏は話されました。これは他の地域でも言えることと思います。そこで豊島区は平成15年からある区民ひろばを活用しセーフコミュニティの周知・定着を図ったそうです。
区民ひろばは児童館と高齢者施設を統合、その運営を地域に任せるという形をとっています。元々セーフコミュニティに近い活動をしていたこともあり、区民ひろばにセーフコミュニティを絡め既存の仕組みにのせて行っているようで、主にセーフコミュニティに関する講座を行っているという紹介がありました。利用者は乳幼児から高齢者までと幅広く、現在では延べ2万人の方が利用しているそうです。
また、セーフスクールとセーフコミュニティ活動を共に行うことで認知度が上がることが分かっており、区民ひろばも小学校単位で行っていることから、セーフスクール活動も加えて行っているようです。現在は富士見台小学校と区民ひろば富士見台が連携して取り組みを行っているそうで、その紹介もありました。
山本より、「小学校区をコミュニティの単位にするのは、世界的にもスタンダードであるので非常に良いと思う。町会を廃止し、地域センターを作った地域があり注目を浴びたこともあった。しかし、長続きしなかった。役所が考えて組織をがっちり作ろうとすると、うまく行かない。区民ひろばは、児童館と高齢者施設を統合して、その運営を地域に任せるという自然な形でできていると思う。」とコメントがあった。小学校単位の施設を使いセーフコミュニティとセーフスクールの連携をはかり、地域の定着を目指すという仕組みは他都市にはない。今後の取り組みも注目していきたい。

■「セーフコミュニティ国際審査員の事前審査を終えて」
 (山田省吾氏 埼玉県秩父市危機管理課 主席主幹)

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埼玉県秩父市は平成24年度からセーフコミュニティ・セーフスクールの取り組みを開始し、27年度の取得を目指し活動しています。秩父市の課題や取り組みなどの報告が山田氏よりありました。
まず秩父市の特徴として、町会加入率の高さについての紹介がされました。町会加入率は現在94%、また「今後もずっと住み続けたい」と考える人は70%を越えるそうです。
しかし、秩父市における現在の課題として人口減少と財政状況の悪化、さらには自殺の発生率の高さがあげられるようです。
そこで秩父市は共助を強化するためセーフコミュニティの活動を始めたそうです。取り組み例として「高齢者安全対策」「自殺」「防災」について説明されました。
さらに今年5月28〜29日セーフコミュニティ国際認証審査員を招いて事前審査が行われた。観光客への対応、各対策委員会同士の連携。PDCAサイクルの仕組みづくりのアドバイスをいただいた。
セーフコミュニティの活動を始めて変わったことは、エビデンスベースでの取り組みに変わったこと、そして関係団体で情報を共有することができたこととお話されました。組織の枠を超えた連携のまちづくりを実現するため、セーフコミュニティというツールはとても効果的であると感じており、これからは行政主体ではなく地域主体の取り組みにしていきたい。

■セーフコミュニティの拡がりを目指して
 (山田典子氏 札幌市立大学間誤学部准教授)

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山田氏はセーフコミュニティの中でも暴力、虐待について取り組まれてきました。しかしながら、介入しづらい、なかなか広がらない、一歩踏み込むのが難しいといった課題があるとお話しされました。日常の意図的要因によって起こる暴力・虐待・自殺の原因を追求しようとするとその基盤である家庭を壊してしまう危険がありそれを立て直す支援が必要で、政策と支援を組み合わせていかなければ抜本的な改善はないと説明されました。これらの課題に対し、保健師特有のアウトリーチといわれる援助者出向支援が有効であると考えられ、その調査結果を報告されました。
全国の児童相談所216ヶ所へアンケートを送付し、研究協力の同意が得られた保健師資格保有者より、他職種連携の有無と効果について尋ねた結果、児童相談所の56%が保健師が配置しており、そのうち多職種連携チームがあるのは40%。75%が多職種連携チームの必要性を感じていたと説明されました。児童相談所からのアウトリーチが少ない理由として児童福祉司との兼務やマンパワーの不足を指摘され、また保健師の持つ積極的アウトリーチの積極的活用がもとめられると説明されました。最後には関係機関で顔の見える関係作りが大切であるとおっしゃっていました。

■亀岡市における超連携社会の取り組み〜SC推進にかかる大学との連携〜
 (山内勇氏 日本SC推進機構シニアサポーター)

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亀岡市は現在7大学15学部と連携事業を行っており、その報告をされました。
これまでも6大学と連携協定を締結しており、具体的には亀岡市の行政全般に関わっての包括協定やSC活動推進に関わっての連携協定、フィールド調査やデータ解析等の事業協定などいずれも教授のみでなく学生も含めた連携協働体制をもっていることが亀岡市の特異な連携であることを説明されました。亀岡市はかねてより官学連携を進めてきた土壌があり、SC活動の推進をこの「大学との連携協働」をより強化なものにする具体策に据えることができるように感じているとお話しされました。
大学連携のポイントとして、お互いが安心社会をつくるよきパートナーであり、同じ意識・目的を持って活動されていることがあげられ、またギャップイヤープログラムという自治体職員を目指す大学院生向けに行っているインターンシップ制度についても紹介されました。
本格的に大学との連携事業を行っている自治体は数少ないと思われ、このような亀岡市の取り組みは聴講している方からも多くの関心を得られていました。

(文責:佐藤安澄)

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